2015年10月12日月曜日

【公演レビュー♪】
アンダルシア・フラメンコ舞踊団「イマヘネス」
於2015年9月23日(水・祝)16:00・東急シアターオーブ

921日から3日間の日程で催されたflamenco festival in Tokyo。初日、2日目のサラ・バラスの公演に続き、最終日は、ラファエラ・カラスコ発案、振付によるアンダルシア・フラメンコ舞踊団の公演!
私の(さしたる予定も入っていなかった寂しい)2015シルバーウィークに、強烈なインパクトと感動を残してくれた同舞踊団の「イマヘネス」の舞台を、素人感たっぷりでレビュー致します。

いざ、研ぎ澄まされた舞台芸術の世界へ

アンダルシア州立の政府お墨付きの舞踊団であること。現ラファエラ・カラスコをはじめマリオ・マジャ、マリア・パヘス、ホセ・アントニオ、クリスティーナ・オヨスと、名立たる舞踊家たちが歴代の芸術監督をつとめ、アントニオ・ガデス、エバ・ジェルバブエナ、ハビエル・ラトーレなど、錚々たる舞踊家たちの振付作品を上演してきたということ。「とにかくすごい舞踊団である!」―その程度の予備知識しか持ち合わせず、連休のMYイベントの1つとして訪れた同公演。ただ私の第六感は意外とハズレなく、パンフレットに目を通す上演前のひと時に、すでに興奮状態にあったことが記憶に残っている。
そして、いよいよ開演の時・・・公演内容に関しては、私のような1フラメンコファンが感想を書くのはおこがましいのではないかと躊躇してしまう、ある種「様式美」の世界であった。私自身、ことフラメンコの舞台に関して「様式美」という表現は適切ではない、と感じている。(様式美=洗練された手順や形式に存在する美しさ。シニカルにいえば、ある意味「お約束の美しさ」であると解釈しているからだ)しかし、この「イマヘネス」の舞台においては、フラメンコという伝統舞踊へのリスペクト(信頼)が生み出す様式美。これも簡単にいってしまえば、あえて「様式化」された美しさが堪能できる公演であった。同舞踊団歴代監督5人の、それぞれのイメージからできたという5つの場面構成で進行されるプログラム。5人の名前こそ知っているものの、「一人一人の過去の作品へのオマージュ」と言われてもピンとはこない、はず・・・にもかかわらず、各シーン20分弱ほどの時間の中で、それぞれの舞踊家が生み出した作品の魅力が伝わってくる、一粒で5度美味しい構成なのだ。個人的には、4つ目のクリスティーナ・オヨスの作品「南への旅」にちなんだ場面で、トランクの上で超絶なサパティアードを見せてくれたウーゴ・ロペスに脱帽。もちろん、恐ろしくレベルの高い群舞一人ひとりのソロにも終始目が釘付けに・・・いや、目だけじゃない、耳も、何より心を釘付けにされた。

と、ここまで書いて、いや1つ目の椅子に座っての繊細かつ強靭な一糸乱れぬサパテアード・パフォーマンス、いや2つ目のカンテラの光のごとくうごめく群舞たちの振付。いや、3つ目の長ぁい白のゴージャスなバタを見事にさばいてのファルーカ。いやいや・・・マントンを華麗に操りながら人と人をつなげていく、まさに伝統の継承を思わせる5つ目の・・・と、結局、私などが甲乙などつけれるはずもない、振付、セット、衣装、とすべてが一体化した、完璧な舞台芸術の世界に終始圧巻だった。自慢ではないが、私は集中力に乏しく、大好きなフラメンコであっても休憩なしの舞台公演では幾度となくMY空想タイムが間に混在する。そんな私が珍しく集中しすぎて瞬きの回数もいつもの5割減で、終了後は少しコンタクトが乾いていたという現象も見られたという事実だけでも、この公演におけるインパクトを物語っている。「舞踊団」という団体だからこそ実現できる世界観というものを、再確認させられた公演でもあった。(ファルーカ編集部・福田陽子)


Flamenco Festival in Tokyo  Sep 21-23, 2015